これからの社会や経済を動かす資源は「データ」だ。「データは21世紀の石油」とも言われる。はたして、それはどのような意味なのだろうか。
なぜ売上の小さい企業が、大きな企業価値になるのだろう。なぜある地域が、他の地域より安全だったり、安心だったりするのだろう。どうやら、サイバー空間の利用に秘密がありそうなのだけれど。
本来は偏在するはずはないのだけれど
データは広くあまねく存在しているが、2018年の時点では、所有や活用は偏っていて、米国と中国に集中している。日本には事例も少なく、「データ駆動社会」について具体的なイメージを持ち、行動に移しているところは少ない。
売上や利益が小さいにも関わらず、大きな企業価値を有する企業は、90年代末期から2000年代初期のITバブルの時も存在した。ただし、いまは、そうした企業の数は増え、IT企業以外の業種に広く存在している。また「ユニコーン」という未上場で10億ドル以上の価値があるとされる企業の数も急増している。 ただし、これらは、ほとんど米国と中国の話である。日本の大企業で、データ活用によって大きな価値を創出している企業はない。またユニコーンと言われる日本企業は1社にとどまっている。
出遅れたEUは、EU市民のデータの価値は2020年に1兆ユーロであるとし、「一般データ保護規則(GDPR)」を2018年5月に施行した。消費者の権利を守りつつ、主に米国のデータ強者を牽制する。違反企業には、世界売上高の4%ないし2000万ユーロ(約24億円)の高い方が課せられる。
組織の壁を超えて、オープンな環境で価値を考える
巨大なデータやそれを解析するパワーが乏しい日本では、組織の壁を超えて、データが仕事や暮らしをどのように変えうるのかを、オープンに話し、プロトタイピングするところから始める。