家族のみらい:拡張できるのか

あらゆる指標が、近い将来、家族が終焉することを指し示している。未婚率、出生率、世帯人数。未来から見たとき、家族は「過去の風変わりな慣習」になるのだろうか。家族がなくても、社会や個人は困らないのだろうか。それとも、なんらかの形で拡張することができるのだろうか。


新たな共同幻想をつくれるか

人間が、他の動物と違って、複雑な社会的な活動ができるのは、幻想を共有する力があるからだと言われている。家族も、法的なルールだけで成り立っているのではなく、夫婦や親子についての「幻想」を基盤にしている。 けれども、政府や企業が示すような「家族」は、いつの時代の話だろう、と思うものが多くないだろうか。 四人家族だったのは1980年代まで。2030年には、平均世帯人数は2.21人になる。単身世帯の比率は、1980年には19.8%だったのが、2030年には37.9%になる。生涯未婚率は、2.6%から27.6%に上昇する。

家族は、裕福で保守的な一部の人たちの間だけで維持されるのだろうか。 家族の中で行われていたこと、育児や食などは、ビジネスとして外部化していくしかないのだろうか。そうすることで何が失われるのだろうか。

家族を拡張すること


40人の家族を想像してみる。必ずしも血縁でつながっているわけではない。その「家族」ならではのぬか床を世話すること、疲れていても子供たちの相手をすること、そうしたことが日々続いていくことから生まれるものを想像してみる。

Graphic by Eri Sato