家にある仏壇の前で手を合わせる光景は、あまり見られなくなった。仏壇を置く場所がないという住宅も多い。暮らしの中で「祈る」ことは少なくなっていくのだろうか。それとも、新たな祈りの形が現れるのだろうか。
葬儀と仏壇は急にやってくる
毎年約130万人の方が亡くなる。葬儀では親戚が集まるが、近年、親戚づきあいも減っており、あまり知らないひとと時間を過ごすこととなる。 また、仏壇がある住宅の比率は減っており、戸建で約52%(2016年)、マンションだと約21%(2016年)という水準になっている。住宅の広さの制約から仏壇を置くことが難しかったり、ライフスタイル上、仏壇を置くことに躊躇するという状況になっている。
一方で、日々の暮らしの中で、手を合わせ、祈る時間を持つことについて、積極的な意味を見出すという流れもある。
関係性を築いていく
生きている間に様々なデータが蓄積されていく。例えば、周りのひとへの「小さなありがとう」を記録しておき、死んだあとにその人がアクセスできるとどうだろう。 また、過去帳を生きている間にアップデートし、ゆかりのある人を訪ねる旅をしてみると、葬儀の場はどうなるか。 こうしたデータと日々の祈りが結びつく場をデザインできないか。